2003年6月議会
2003年6月議会での反対討論
2003年7月4日 日本共産党福岡市議団 星野美恵子
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第138号、139号、145号、149号、156号、157号に反対し、討論を行います。
まず、議案第149号、アイランドシティ地区平成15年度3工区在来地盤改良工事請負契約の締結についてであります。これは人工島事業のうち市施工3工区の地盤改良を7億円かけて行うものであります。
人工島事業についてわが党は当初から、計画の必要性も実現性もないことを指摘し、中止、あるいは縮小見直しを要求してきました。しかるに2代にわたる市長のもとで埋め立てが強行され、その結果、博多港開発工区は銀行が会社への融資停止を表明するなど開発破綻に陥り、山崎市長は2000億円をこす新事業計画を策定したうえ、この5月には45億円を緊急融資し、その返済のために新たに道路用地を買い上げるなど、税金投入による破綻救済を次々すすめています。また、市工区についても深刻な破綻が懸念されています。
今回議案の工事を行う3の1工区は、コンテナヤードを整備する計画であります。コンテナヤードを含む港湾機能施設整備にかかる資金計画は、利子含めて823億円の費用を37年かけて回収するというものですが、コンテナ貨物量が5年後には今の約2倍にも増えるという過大予測を前提にし、また耐用年数が17〜8年しかないガントリークレーンの取り替えなど維持管理にかかる費用を除外しているなど、もともと収支が成り立たないのであります。さらにスーパー中枢港湾にすれば、港湾施設使用料が3割引き下げられることとなり、使用料でまかなうという計画は現実性も見通しもないと言わざるを得ません。
また、港湾関連用地を6.4ヘクタール減少させる港湾計画の一部変更にともなう、99億2千万円の収入減が明らかになりましたが、これは民間への売却予定地を公共用地に切り替えることであり、事実上の税金による破綻穴埋めであります。
市工区については、来年2004年度から2015年度までの12年間で、約80ヘクタールの土地を1㎡あたり平均15万5千円で処分するとしていますが、実現性はありません。今回、相互運輸とエバーグリーングループの2社による分譲予定が明らかになりましたが、これは箱崎ふ頭にある両社の土地を市が港湾道路用地として買収することにともなう移転であり、税金を原資とした購入にほかならず、土地需要があると強弁する市長の言い分は根拠がありません。
今回工事の3の1工区の東側隣接地には広大な埋立地がすでに完成し、港湾用地が未分譲のままであり、埋め立てを急ぐ必要性も緊急性も全くありません。さらに、国施工の岸壁工事が遅れ、埋め立てを2009年まで延長したにもかかわらず、仮護岸を設置しての埋め立ては、全く必要がなく、税金のむだ遣いであります。埋め立てをすすめる工事はきっぱり中止すべきであります。
したがって、わが党は、人工島建設を推進する本契約議案に反対し、その撤回を強く求めるものであります。人工島事業は、中断して見直すことこそ、借金をこれ以上増やさず、破綻の穴埋めに税金を投入しないですむ唯一の道であります。また、この際、博多港開発自体を、縮小整理すべきであります。
次に、議案第157号、福岡市長の給料の特例に関する条例の専決処分についてであります。これは、博多港開発株式会社によるケヤキ・庭石購入問題に関し、市長の6月分給与を10分の3、40万5千円減額したものであります。
山崎市長の減給処分は、前総務企画局長が有罪となった談合贈収賄事件の責任をとった2001年7月に続き2回目ですが、前回は組織ぐるみの犯行ではなく「個人の資質に起因する」として1ヶ月の減給処分としました。今回、ケヤキ・庭石事件は明らかな組織ぐるみの事件であり、10億円にものぼるむだ遣いを許した監督責任と任命責任は極めて重いものです。市長は「行政の最高責任者として社長を任命した道義的責任を明らかにしたい」と述べていますが、前回と同じ内容でわずか1ヵ月だけの減給処分で済まそうとする態度は、合理性も一貫性もないと言わざるを得ません。しかも山崎市長は、事件当時の関係幹部職員を引き続き重用するなど、事件の責任を感じているのか甚だ疑問であります。
今回処分で市民に対する責任を果たしたとは到底言えるものではなく、その重大な責任に照らしてあまりにも軽すぎるものであり、わが党の承認しがたいところであります。
また、ケヤキ・庭石を買い戻すなどこの後始末にかかわれば、むだ遣いのツケを市民に押し付ける結果となるのは必至であり、市長は事件を引き起こした志岐眞一氏や西田藤二氏、西田氏のファミリー企業など関係者にただちに損害賠償を請求すべきであります。
次に、議案第138号、福岡市再生水利用下水道事業に関する条例案についてであります。
これは、再生水利用下水道事業について、再生水の供給区域、利用手続、料金その他を定めるものです。節水を推進するためにも、水のリサイクルに取り組むことは大切ですが、問題は今回提案されている再生水使用料金の改定であります。条例案は使用料を現行と比べて平均15%引き下げるものですが、再生水の供給先は主に大型商業ビルなどであり、一部企業が使用料の負担軽減の恩恵を受ける優遇措置に、わが党は賛同しがたいのであります。
次に、議案第156号、市税条例の一部を改正する条例の専決処分についてであります。
これは地方税法等の一部を改定する法律の施行にともない、本市市税条例の改正を行ったものであります。そのうち、オフィスビルの新増築にかかる事業所税の廃止は大型オフィスビルのスクラップアンドビルドを促進するものであり、また特別土地保有税の課税の停止は大企業が保有する遊休地への減税を行うものであります。これらにともない、本市においては今年度約7億円の減収となるものであります。「規制緩和」「都市再生」を口実に大企業優遇税制を推し進める地方税法改正にともなった市税条例改正の専決処分に、わが党は反対であります。
以上で、わが党の討論を終わります。